目次
概要
シンプルかつ奥の深いウォーシミュレーションが無料ゲームとして配布
キングオブキングスは1988年にナムコから発売されたウォーシミュレーションゲーム。
開発は女神転生シリーズやペルソナシリーズでもおなじみのアトラス。
当時としてはウォーシミュレーション自体が珍しかったということもあるが、現在でも十二分に楽しめるシステムとなっている。
きょるかん様によってフリーゲームとしてリメイクされ、現在きょるかん様の運営するウェブサイト「多目的空間」で無料で配布されている。
該当サイトはこちら↓
まさかあの名作シミュレーションが無料でしかもこの再現度……シミュレーション好きならやらずにはいられない
ゲームシステム
余計な要素を除き、シンプルかつ何度でもプレイすることができるシステム
画面は極めてシンプル。 しかし将棋やチェスのように奥深い
システムは極めてシンプル。
昨今のシミュレーションゲームのように、主人公や固有ユニットのようなものはなく、自分と相手の使えるユニットの種類は完全に一緒。
初期配置はお互いのキングしかおらず、スタート時に割り振られた資金と城・町を占領することで毎ターン支給される資金を使用してユニットを雇っていく。
もちろん地形があるため、初期配置によって有利不利はある。
基本的に各マップ♠(青)でプレイすることを想定して作られており、多くのマップで難易度が最も高いのも♠(青)となっている。
キャンペーンモード(ストーリーモード)はあるが、9マップのみ。マップはクリアするたびに全てリセットされるのでユニットの持越しや資金の持越しなどできないため、毎回そのマップでの攻略法を無から模索することになる。
設定で難易度は変えることができるが、初期配置が敵の国の方が有利にできているため、基本的に劣勢から知恵と運で形勢を逆転する必要がある。
戦闘のシステムは極めて単純。
「ユニット同士の種族による数値」「ユニットのレベル」「地形効果」だけが戦闘結果に影響する。当然乱数を含んでいるので同じシチュエーションであってもセーブ&リセットを繰り返せば違う結果になる。
とにもかくにもシンプルであり、かつシンプルがゆえに奥が深い。
全てのユニットに得手不得手があるため、その相性と地形効果を考えてできるだけ有利に戦闘を進めていき、相手の王を討ち取るのがこのゲームの目的だ。
難易度は普通でも十分なくらいの手ごたえ。おそらく適当にやっていては簡単に自国の王を討ち取られてしまう。
それぞれのユニットの性能や相性、地形を考えて最適な戦術・戦略を選択し、そして幸運が舞い降りたときだけ勝利をつかむことができる。
シミュレーションRPGとは違いレベルを上げて再挑戦ということはできないため、単純にクリアできるかどうかはプレイヤー自身のスキルと運次第である。
戦略シミュレーション好きなら延々と楽しむことができるゲーム。しかも有志によるマップ作製で、追加データをダウンロードすれば200を超えるマップが楽しめる。
ファミコン版との大きな違い
いくつかのユニットに新機能を追加
追加ユニットのひとつバーバリアン ナイトよりも安く竜族に強いという性能 もちろん他への性能はほどほど
ユニットに関する特別ルールとして、
ナイト系・ソーサラー系・モンク系のクラスチェンジ3種
ワイバーン・サーペント・ドラゴンの三竜族
そしてG+で追加されたPS版の新規ユニット
バーバリアン・ケルベロス・ガーゴイルの新規三種
に特殊能力がついている。
特にFC版に比べて攻撃力が高くなっているためユニットが全滅しやすく、戦線は押しているのにファイターがたどり着けず町が確保できない、という状況では
シルバーナイト・ドラゴンナイトでも町を占領することができるという追加能力は非常にストレス軽減になります。
最大部隊数の増加
FCのハードの問題点は全て改善済みの本作
ユニットの増加のほか、最大部隊数が多くなっており、実際にやってみると最大部隊数に到達することはまずありません。
ただ部隊数の増加はプレイヤーへの恩恵かと言われると正直微妙なところです。
1.相手が無尽蔵にユニットを召喚してくる
2.最大部隊数になることがないため、予算がべらぼうに貯まった敵がドラゴン量産してくることはない
3.最大部隊数を気にせず、延々スケルトンとゴーレムが作れる
有利になるかは一長一短であるため、そのルールをどう活かすかはプレイヤー次第。
火力の増加
旧来の生産力以外にダメージやCOMの強さも変更可能 素晴らしい心配り
FC版と比べると明らかに火力が上がっています。そのため全滅する確率が高い。
もちろん製作者様は「ダメージ調整」を付けてくれています。
FC版はおおよそ80%くらい。
G+の火力は通常100%なので体感25%UPです。
FC版を引きずるとイライラする人もいるかもしれませんがそうした場合には80%にすれば解決。
逆に火力が1.25倍(くらい)になることで大型ユニットが意外なところで落とせたり削れたりするので、寡兵から逆転するのには向いていると思えます。
魔法でも経験値が入る
経験値の量も多いためわりと魔法使い系がすんなりクラスチェンジする
これかなり大きいです。
キングオブキングスで魔法を使えるのはソーサラー系とモンク系、そして「ネクロ」と「バル」、「ユンク」と「レーム」の二種類しかありません。
しかしこれらの魔法を使うことで移動や攻撃の権利を放棄するため、他のキャラクターと比べるとレベルが上がらないという難点がありました。
しかし魔法で経験値を得ることができるようになり、ウィザード・ビショップがかなり作りやすくなりました。
FC版に比べてはるかにCOMの知能が高くなっていて歯応えがある
FC版をやったことがある人なら誰しも経験したことのあるCOM側の謎のグルグル行動やハーピーの海上激走。
ルーチンがかなり改善されているため、そうしたバグ(?)はなくかなり効率的に行動してきます。
ある程度ゲームに慣れてくるとCOMが何を基準にどうしてその行動をとるのか観察してみるのも面白いかもしれません。
さらにFCのシミュレーションゲームのネックであった相手ターンの長さ。
(ガチャポン戦記のディスクシステムの方とか「かんがえてマース!」って表示されて長かった……)
キングオブキングスも妙な間があったり、動かせないところに移動させてやり直したりなどしていましたが、本作にはそういったイライラはありません。
サクサク移動させてサクサク終わってくれます。
しかもスピードを「瞬」にさせればかなりの早さ。
スピードはいつでもメニュー画面から変更可能
もちろん部隊数が多くなればその分時間はかかりますが、FCのときよりは遥かに早いです。
最大8ヶ国
FC版は4ヶ国まででしたがこちらは8ヶ国になっています。
その分ボリュームがあるマップもあったりします。場合によっては冗長に感じるかもしれませんが……
しかし、自由度が高まったということはそれだけ遊びの幅が広がったということ。
それぞれのプレイヤーにあった楽しみ方ができるようになったということです。
このゲームの良かった点
・あのFCのグラフィックや音楽をそのままにUIは遥かに使いやすく
・PCでの操作ですが特にコントローラーがなく、キーボードでも十分問題なく操作可能(さすがに5・6時間ぶっ続けでやってると手が痛くなってくるけれど)
・マウスでも操作可能。また画面が広くなっていることもあり、FC版に比べてはるかにやりやすくストレスの少ないUI
・シンプルかつ完成された戦略シミュレーション
・マップエディターで無限にマップが作れる。
クリア後のレビュー
演出よりも倒し切ったという充実感がすごい
ルシファーとの戦いを終えて
こんなに歯応えのあるゲームだっけ?!
という嬉しい悲鳴。
FC版のルシファーとの戦いは一度も敗北したことがない。しかし、今回のG+ではCOMのルーチンの改善やユニット相性の変更、地形効果の変更などでバランスが変わっており、良い意味で難易度が上がっていた。
従来の4ステージ目(決戦のケオシアム)までであっても何度かキングが滅ぼされる事態が発生した。
それでも何度かやり直しているうちに序盤のユニットの雇い方や最初の3ターンの動きなどを調節してなんとか戦闘が成立するまでの苦心。そして少ない生産量ながらなんとか持ちこたえ相手の攻め切れを感じ始めたときの「ニヤリ」な気持ちは実際にやってみないと分からない面白さです。
ステージも非常に多く、また自作でマップをエディットできる点やバランスが崩れない程度に新要素が追加されているため、こうした「シンプルなウォーシミュレーションが好き!」という人なら無料で何百・何千時間も遊べてしまう恐ろしいポテンシャルを秘めたゲームです。
最近の凝ったゲームに飽きてきたという人やシミュレーションゲームが好きという人。昔死ぬほどキングオブキングスをやったという人。「ナムコミュージアム版もやったぜ!」という人には是非やってもらいたい!
昔ハマったゲームだから懐かしさ補正もあるけれど、現在のクオリティでPCでできるのには本当に製作者様に感謝! シミュレーション好きなら是非やってほしい!
改善してほしかった点
・UIに関してはFC版よりも遥かに良くなったので文句なし
・随時更新中のゲームなので今後もより良くなっていくはず!
プレーするにあたっての注意点
非常に個人的な意見(ネタバレ含む)
真面目にやっても敗北することがしばしば
ゲーム本来の面白さを十二分に味わうことのできるシステム。無駄なくかつ奥深いゲームデザインはゲーム好きなら繰り返し楽しめるようになっている。そこに最新のグラフィックや荘厳なBGMは必要ない。
もはや将棋や囲碁などの競技に近く、プレイの数だけそこにドラマがあると言っても過言ではない。
FC版ではCOMのルーチンがいまいちだったためほぼ負けることはなかったが、今作では十分な知能を持っているため緩着があれば容赦なくGAME OVERの憂き目にあう。
当時のキングオブキングスをプレイした人もシミュレーションゲーム好きも是非プレイしてほしい。